第3話

〈今日子〉
ホストクラブ:キャバクラは女が男を接待するのであればホストクラブは男が女を接待する店である。

タクシードライバーの今日子はホストクラブの銀河との待ち合わせ場所へ向かっていた。タクシードライバーとしてではなく、お客としてである。
ホストクラブ通いのきっかけは、先輩のドライバー勿論女性であるが会社の食事会の後に二次会の名目で連れて行かれた事である。
そのままホストクラブにはまってしまったのか、はめられてしまったのかは分からないが、相当なホスト通いになっている。

同伴:お店の売り上げが少ない店舗オープン時にお客を確保するため、ホストとお客が店外にて待ち合わせをして食事などをしたあと、お客と一緒に出勤する事。同伴料として請求される。

ホストの銀河とはお互い車好きがきっかけで趣味や話が合い、そのままのめり込んでしまった。今日も食事とホテルに行ってからの同伴出勤である。

「独立の話はどこまで進んだの?」
「今度物件見に行く事になってるんだ」

銀河は仕事柄銀行よりお金を借りる事が出来ないらしく、今日子がお店の手付金として300万円を貸してしまった。もちろん今日子にそんなお金は無く、借金したお金である。
「この前も同じこと言ってたよ、本当に独立は大丈夫なの?」
「大丈夫だよ…あっ疑ってるな?」
「そんな事ないよ、銀ちゃんの事は信じてるよ」
「ありがとう、借りてるお金は独立したら必ず返すから、もう少し待ってね」

二人はホテルを出て駅前にある銀河の働くホストクラブへ向かった。