第6話

〈逃走男〉
秋田を乗せた車は一度も停止する事なく二時間くらい高速を走らせていた。
行き先はわかっている、近づくにつれて心臓の鼓動が早くなっていた。
妻は大丈夫だろうか?状況が全く分からないだけに、手の出しようがなかった。
車は高速道路をおり一般道を走り始めた。
助手席に座った、いかにもやくざな男は秋田が組を出たあと、薬の情報収集のため元締めの組から回された山口というやくざであった。
石川組に着き秋田は車を降ろされた。
事務所にはいると組長をはじめに秋田の顔見知りの面々が揃っていた。
「秋田、久しぶりだな」。石川が睨み付けると同時に、一発二発と殴られ拳銃を頭に突き付けられた。「手間取らせやがって」「シャブは何処に隠した」と秋田へ迫る。「もう一度聞く」「シャブは何処に隠した」
秋田が「シャブなんて無く、組長が騙されていただけですよ」と言うと、石川は秋田を拳銃で殴り付けた。

「悪いが秋田と二人にしてくれ」と石川が言う。
山口は「一度組に帰らせていただきます、明日また来ますので、組長お願いしますよ」
「すまんな、手ぶらで帰らせて」と頭を下げた。