第2話

〈便利屋〉
組事務所の周りは警察に包囲されている。現在22時、事件発生は20時頃の為2時間の膠着状態が続いている。
発砲事件との通報、巡回中の福岡巡査官が駆けつけたが組事務前にて一人の死亡を確認。その後福岡巡査官と連絡が取れなくなり、現在に至る。なお福岡巡査は組事務に捕らえられてる模様である。

「お巡りが死体みて失神かよ、お陰で時間が稼げたぜ」。
「福岡君、あとはよろしく」。組員はそういうと映画大脱走よろしく、隣の建物につながる隠し扉を開け地下通路より事務所を出て行った。

「馬鹿、俺も連れてけ」。

二年前福岡巡査は本署地域課より派出所への移動は命ぜられた。
辞令を受け交番勤務にあたっていた。日々は地域巡回が主な仕事であった。交番の管轄内には組事務所がある為、事務所周辺の巡回を朝夕の二回行う事くらいであった。暴力団排除条令が出来てから報告が多くなり、組事務所伺う事も多くなっていた。
組事務所は組長の自宅兼事務所となっている二階建ての一軒家を改造し二階が組長宅、一階が事務所である。ヤクザにもプライバシーがあり玄関は一階二階分かれている、そのため親分子分の二世帯住宅になっていた。しかし組長は現在入院中、子分の一人であった男と問題があったらしく、その心労の為か自宅で倒れたとの事であった。