第4話

〈便利屋〉
福岡は事務所のドアをたたき中へ入った。
「すいません巡回の福岡です」と告げると、中から構成員の福島がでてきた。
福島とは派出所への移動後何度も話をしており、警察との窓口になっている。
福島は一度飲酒運転で福岡に見つかっているが、福岡の勤務時間外で見逃されている。福岡もそれをだしにして福島より情報をもらう様になっていた。
「組長が戻っているようですが?」
「早い時間からご苦労様ですね」
「入院中の組長が戻っているようですが」と改めて確認する。
「…ばれちゃいました?」
「先程事務所前で…お客さんですかね、お送りしているのを確認しましたが」と言ったところで、奥から組長の石川が現れた。
「朝から警察が何のようだ」と組長らしい低いただれた声で喋り福岡を牽制した。
福岡は警察手帳を見せ石川へ地域巡回中である事を伝えた。
「いつ退院なされましたか?病院から何も連絡無かったもので」と雨で濡れた巡回表を書きながら尋ねた。
「おまえが病院に確認しろ」とまともに答えるきは無さそうな口調であった。
「いまどなたかお客さんがいらしてたようですが?」
「白髪の男性ともう一人…」少し間を開けて「車の中に女の子も居たものですから」と福岡は確認する。
「そんな事覚えとらん」と言い、こちらを相手にするきは無いようである。
「ご用がないならお引き取り下さい。」と言い残し奥へ入ってしまった。
「すいません、今日はお引き取り下さい。」と福島に言われると福岡は小声で、「後で必ず連絡しろ」と伝え、雨の中へと戻っていった。