第7話

〈今日子〉
銀河が白髪の男性に連れて行かれてから三日たった。今日子は毎日毎時間銀河の携帯に電話をかけていた。
「おかけの電話番号は電波の届かないところにおられるか電源が入っていないためかかりません」と機械音が繰り返されていた。
お店に連絡しているが来ていないと毎日繰り返えされた。
白髪の男性と連絡を取ろうとお店に連絡を入れたのだが、個人情報の為に教えてはもらえなかった。
また警察に行ったところで相手にしてもらえるような話ではなく、今日子は行き詰まってしまった。
銀河がいないと生きていけない今日子と銀行への借金とホストクラブで使ったガード払いが残るだけとなった。
途方にくれかけていた今日子にふと考えが浮かんだ、急いで鞄をあさると、最後にホストクラブへ行った日にもらった金色の名刺が出てきた。
白髪の男性の連絡先を教えてもらおう。

スバルが電話に出たのは夜の10時を回っていた。「スバル君覚えてる」と今日子はあの日の事を説明した。
スバルもお酒が飲めないだけあって、覚えていたので助かった。
「白髪の男性の連絡先と名前を知りたいんだけどなんとかならないかな?」
「お店の人は個人情報だから教えてくれなくて…」と今日子はスバルにお願いをした。
スバルは「教えるのはいいんですが…」とためらう素振りを見せる。
「お願い」と今日子が言うと「10万でどうですか?」とスバルは返した。
今日子は黙ってしまった。今の今日子に現金10万円は本当に無理であった。
携帯電話を耳にあてたまま、悔しさと悲しみで泣いている今日子がいた。
「10万円と言いたいところですが、今回はサービスしておきます。自分も銀河さんが気になりますので」とスバルが今日子へつたえる。
「ありがとう」と言うのが精一杯であった。
「お店についたら電話します」。
「またお店に来てくださいね」と今日子へ伝えると電話は切れた。
部屋で今日子は泣く事しか出来なかった。